ジャパン・ハンドラーズと国際金融情報 : オバマ演説:ウィルソニアンのようなハミルトニアン |
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アルルの男・ヒロシです。(写真の左上の人物に注目)
オバマ大統領の就任演説について。部分的には、「グリーン・ニューディール」のあらましが述べられているなど具体的な部分もありましたが、選挙時に比べるとかなり散漫な内容。ルーズヴェルト大統領の、「今恐れるべきものは恐れそのものだ」というようなインパクトのあるフレーズは一つもありませんでした。
ただ、その中で気になったのが以下の箇所。演説の中盤で出てくる、「新しい責任の時代」とい産分。
(引用開始)
Our challenges may be new. The instruments with which we meet them may be new. But those values upon which our success depends - hard work and honesty, courage and fair play, tolerance and curiosity, loyalty and patriotism - these things are old. These things are true. They have been the quiet force of progress throughout our history. What is demanded then is a return to these truths. What is required of us now is a new era of responsibility - a recognition, on the part of every American, that we have duties to ourselves, our nation, and the world, duties that we do not grudgingly accept but rather seize gladly, firm in the knowledge that there is nothing so satisfying to the spirit, so defining of our character, than giving our all to a difficult task.
This is the price and the promise of citizenship.
http://www.realclearpolitics.com/articles/2009/01/obama_inaugural_address.html
(引用終わり)
この部分の和訳は読売新聞のサイトから
(引用開始)
◆新しい責任の時代◆
政府はやれること、やらなければならないことをやるが、詰まるところ、わが国がよって立つのは国民の信念と決意である。堤防が決壊した時、見知らぬ人をも助ける親切心であり、暗黒の時に友人が職を失うのを傍観するより、自らの労働時間を削る無私の心である。我々の運命を最終的に決めるのは、煙に覆われた階段を突進する消防士の勇気であり、子どもを育てる親の意思である。
我々の挑戦は新しいものかもしれない。我々がそれに立ち向かう手段も新しいものかもしれない。しかし、我々の成功は、誠実や勤勉、勇気、公正、寛容、好奇心、忠誠心、愛国心といった価値観にかかっている。これらは、昔から変わらぬ真実である。これらは、歴史を通じて進歩を遂げるため静かな力となってきた。必要とされるのは、そうした真実に立ち返ることだ。
いま我々に求められているのは、新しい責任の時代に入ることだ。米国民一人ひとりが自分自身と自国、世界に義務を負うことを認識し、その義務をいやいや引き受けるのではなく喜んで機会をとらえることだ。困難な任務に我々のすべてを与えることこそ、心を満たし、我々の個性を示すのだ。
これが市民の代償であり約束なのだ。これが我々の自信の源なのだ。神が、我々に定かではない運命を形作るよう命じているのだ。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20090121-OYT1T00132.htm?from=navr
(引用終わり)
この部分、やはりアメリカが「現代のローマ」なんだなあ、と。ローマを意識しているんだろうな、と。
オバマ演説のスピーチライターは、ローマ市民権には(従軍などの)義務が伴ったことを意識しているはずです。ただ、wikiによると、ローマ市民権が徴兵制を含んでいたのは途中までで、マリウス軍政改革で義務が免除になったんですね。wikiの解説では、ローマ市民権が「獲得されるもの」から「与えられるもの」になって、ローマの衰退の一因になった、とあります。
帝国指導者というのは、やはり衰退の兆しを肌で感じるのでしょうか。ローマ市民=アメリカ国民に、「新しい時代の責任」を意識させる必要があるほど、ブッシュ政権の8年間はアメリカの衰退を予感させたのでしょうね。
オバマ演説の分析も、米メディアでされています。「ナショナル・レビュー」のリッチ・ロウリーは、オバマ演説について次のように書きます。
(引用開始)
4) I generally liked the national security language. It's important to hear a liberal Democrat saying that this is a war and we are going to win it. Of course, Obama had a more Jeffersonian rather than Jacksonian take on how we influence the world, more concerned with tending to the power of our example rather than seeking out and destroying our enemies. This is just part of the inevitable cycle of the American foreign policy debate and not necessarily unhealthy (we need elements of both those traditions, among others—as Walter Russell Mead argued in Special Providence).〔要旨:民主党大統領が、われわれは戦時下にあり、われわれはそれに勝利する必要があると言ったのは重要だ。むろん、オバマは、対外戦争への勝利の意志を強くもつ、ジャクソニアンではなく、ジェファーソニアン的な感じがあった。それは、われわれの外敵を打倒することよりも、過去の自国の成功がもたらすアメリカの偉大さについて言及する事が多かったということである。これは、アメリカの外交政策論争につきものの、避けられないサイクルのようなもので、これはむしろ健全といえる。(ラッセルミードのいうようにわれわれはこの双方の要素を持つ必要がある)
http://corner.nationalreview.com/post/?q=MjNjMjdlNTk1ODU4YjJiZWNiOTRhYTk0YmM3NmI0MmU=
(引用終わり)
オバマの演説は、以下の部分にも観られるように、ジェファーソニアンというよりは、ウィルソニアンであり、実はアメリカの産業の育成を重視している点では、ハミルトニアンです。
(引用開始)
※ ウィルソニアン的
我々は、我々の生き方について謝らないし、それを守ることを躊躇(ちゅうちょ)しない。テロを引き起こし、罪のない人を殺すことで目的の推進を図る人々よ、我々は言う。我々の精神は今、より強固であり、壊すことはできないと。あなたたちは、我々より長く生きることはできない。我々は、あなたたちを打ち破るだろう。
※ ハミルトニアン的
なすべき仕事は至る所にある。米国経済は、大胆かつ迅速な行動を求めている。そして我々は新規の雇用創出のみならず、新たな成長の礎を整えることができる。道路や橋を造り、電線やデジタル通信網を敷き、商業を支え、我々を一つに結び付ける。科学を本来あるべき地位に戻し、医療の質を引き上げながら、そのコストは減らす。太陽、風や土壌を利用して自動車を動かし、工場を動かす。新時代の要請に合うよう学校や単科大、大学を変えていく。我々はすべてのことを成し遂げられるし、行っていく。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20090121-OYT1T00132.htm?from=navr
(引用終わり)
考えてみれば、アメリカと言う国は南北戦争以降、表面的にジャクソニアンとウィルソニアンの顔を使い分け、実際の支配層が「ハミルトニアン」傾向が強いの金融家、産業家だったという国家です。
その点ではオバマの演説はあまり観るべきところがなかった演説です。「反省しない」っていっているんですから。全然殊勝なところがない。
それよりも、オバマが最高裁判事のロバーツの言い間違いに釣られて、宣誓の言葉を言い間違ったこと。オバマの責任というよりはロバーツ判事の責任ですが、この部分は本来一番重要な個所だったはずです。〔22日に、再度、ホワイトハウスの地図の間で、二度目の宣誓を最高裁判事を呼んでやったらしいですが、このときには「聖書」がなかったんだそうな・・・。これは保守派が文句をつけそうですね〕
テッド・ケネディが就任式のあとの昼食会のあとにぶっ倒れて、救急車で病院に担ぎ込まれた、その一日後に、狙っていたキャロライン・ケネディが上院議員の議席をを断念すると表明しましたね。アメリカのエスタブリッシュメントもWASPを初めとする白人層からマルチ・エスニックに変わりつつあるのかと想わせる一件でした。アメリカは白人の国だと考えている昨年亡くなったサミュエル・ハンチントンのような考えをもつ人からすれば、恐ろしいことでしょう。
ローマが蛮族の進入によって滅亡したように、今のアメリカの支配層はメキシコの移民におびえている、と言ったところでしょうか。
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オバマの就任後の祝賀パーティーを主催したのはカリフォルニアの富豪でフィランソロピストのエリー・ブロード。
(貼り付け開始)
January 20, 2009, 9:20 pm
Balls? The Elite Were Elsewhere
By Sheryl Gay Stolberg
Balls, shmalls. Anyone who is anyone in Washington was at Tuesday night’s pre-ball dinner, thrown by the California billionaire Eli Broad at the Park Hyatt Hotel to honor members of the new Obama administration.
The guest list looked like a who’s who list of Washington old and new: Hillary Clinton, Mr. Obama’s choice for secretary of state and her husband, former President Bill Clinton; Lawrence Summers, the former treasury secretary and new White House chief economics adviser; Paul Volcker, former chairman of the Federal Reserve; Arne Duncan, Mr. Obama’s pick for Education Secretary, Leon Panetta, the nominee for director of the C.I.A.; Vernon Jordan, the power lawyer, as well as media celebrities like Larry King and Charlie Rose.
They dined on appetizers of lump crabmeat and shrimp salad, followed by an entrée of grilled salmon with celery root puree and honey glazed carrots, and finished with a chocolate praline tart for dessert. The Champagne was Tattinger’s; the wine, chardonnay – California, of course.
And lest anyone think Mr. Broad’s well-fed guests forgot the nation is in a deep recession, our spies tell us the subject did come up. Both Mr. Summers and Mr. Volcker mentioned the ailing economy in their remarks, suggesting that now is the time for a new president to think expansively and fix it.
http://thecaucus.blogs.nytimes.com/2009/01/20/balls-the-elite-were-elsewhere/?scp=1&sq=ball%20vernon%20jordan&st=cse
(貼り付け終わり)
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戦後の一時期、NMロスチャイルドの会長を務め、日本語で回想録も出ている、エドマンド・デ・ロスチャイルドが死んだようです。エドマンドについては、『エコロジーという洗脳』で取り上げました。TIMESのサイトに死亡記事がありましたが、ほかの新聞サイトにはありませんね。21世紀のロスチャイルド銀行の戦略については22日のFTに出てましたが。
From The Times
January 21, 2009
Edmund de Rothschild: banker and gardener
http://www.timesonline.co.uk/tol/comment/obituaries/article5555156.ece
Chinese puzzle makes blue-blood Rothschilds see red
By Paul Betts
Published: January 22 2009 02:00 | Last updated: January 22 2009 02:00
http://www.ft.com/cms/s/0/7d039902-e826-11dd-b2a5-0000779fd2ac.html?nclick_check=1
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ビンラディンの息子がイランに居たけど脱出してパキスタンにいるんだって、国家情報官のマイク・マコネルが退任会見でそう発言したそうな。何時の間にアルカイダとイランが結び付けられているよ~。怖いね。
JANUARY 16, 2009, 8:51 P.M. ET
Spy Chief Says Bin Laden Son Left Iran, Likely Is in Pakistan
http://online.wsj.com/article/SB123214632242491755.html
投稿者 sfu9xi | 返信 (0) | トラックバック (0)