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カウプシング銀:サムライ債がデフォルト−欧州初、他3本影響か(3)

10月27日(ブルームバーグ):利払いが遅延していたアイスランド最大の 商業銀行で政府管理下にあるカウプシング銀行の円建て外債(サムライ債)500 億円のデフォルト(債務不履行)が27日、確定した。猶予期間である27日午後 になっても利払いが行われなかったことで、債券の契約上の「デフォルト事由」 に抵触した。欧州の発行体によるサムライ債のデフォルトは初めて。複数の投資 家がブルームバーグ・ニュースの取材に対して明らかにした。

デフォルトが確定したのは、同行が2006年10月発行した第1回債で、表面 利率は1.8%。満期が09年10月20日の3年債。主幹事は、大和証券SMBC と野村証券が共同で務めた。発行時点の利回りの円スワップレートに対するスプ レッド(金利上乗せ幅)は+75bp(1bp=0.01%)だった。

シュローダー証券投信・投資顧問の長藤徹志クレジットアナリスト兼ファ ンドマネジャーは「海外の資金や銀行業務への依存度が高い国の発行体のサムラ イ債に対する警戒感が今後、強くなるだろう。しばらくは、サムライ債市場の起 債環境は良くない状態が続くだろう」と語った。

アイスランド政府は24日、国際通貨基金(IMF)から20億ドル(約 1850億円)の緊急融資を受けることで合意したが、この融資は外貨準備など支 援国の国際収支の不足を補うことが主な目的で、サムライ債の債権者の保護に使 用される可能性は小さい。

今回のサムライ債の元利払いの手続きを行っている財務代理人の三井住友銀 行広報部は27日午後5時で利払いがないことを確認した。

他3本も不履行の可能性−クロスデフォルト

カウプシング銀行は、ほかにも3本、計280億円のサムライ債を発行してい る。サムライ債では、クロスデフォルト条項が付いている。債券の目論見書によ ると、「いずれかの借入金」が支払われない場合もデフォルト事由となっており、 他の3本も借入金とみなすことができれば、これらも自動的にデフォルトとなる。 さらに、カウプシング銀行は10月9日に英国の主要子会社が英国政府の管理に 移管された時点でも、サムライ債は社債契約上の「デフォルト事由」に該当する。

カウプシング銀債の円スワップレートに対するスプレッド(金利上乗せ幅) は、9月末から急拡大し、現在では+45000bp(450%)まで拡大、価格も90円 程度から10円程度まで暴落した。まさに、破たん状態の水準だ。

このサムライ債は、発行時にムーディーズのA1、フィッチ・レーティング スのAの格付けを取得したが、現在、同行の無担保債務や発行体について、ムー ディーズがCaa2、フィッチがCC、格付投資情報センター(R&I)がCC としている。R&Iの定義では、CCは、「債務不履行になる可能性が極めて大 きく、将来の履行に強い懸念を抱かせる要素がある」を意味する。

レバレッジ財政が破たん

カウプシング銀行のデフォルトは、アイスランドが漁業から金融立国を目指 して、過大なレバレッジ(負債)をもとに、米国流の投資銀行業務を展開してき たが、その戦略が米国発の金融危機が深刻さを増すなか、投資銀行のビジネスモ デルの崩壊とともに挫折に至った。カウプシングを含む大手3行の総資産は07 年末時点で同国のGDP(国内総生産)の9倍を超えている。

カウプシング銀行を含む大手3行については、受け皿銀行が設立されている。 「カウプシングの受け皿銀行については、国内の預金などが移管されるが、海外 の債務を中心とする資産・負債の査定業務には、90日間程度を要すると思われ る」(R&Iの発表資料)といい、「円建て債などの外貨建て債務は、外貨預金や 担保付債務などに比べても返済順位が劣後するうえ、現在の金融市場環境からみ て、返済原資となる海外資産の譲渡・売却収入は簿価より大きく目減りすること が予想される」(発表資料)という。

国際金融市場が大きく動揺

ハーデ首相自ら、「国家財政は破たん寸前状態」と非常事態を宣言したアイ スランド経済は危機的状況だ。英国やドイツなど欧州各国が自国の金融危機の対 応に追われる中、アイスランドは、急きょロシアに資金支援を求めたほか、24 日には国際通貨基金(IMF)から20億ドル(約1850億円)の緊急融資を受け ることで合意した。

金融市場では、米大手証券のリーマン・ブラザーズのサムライ債も9月にデ フォルトしたほか、アルゼンチンでも21日、同国大統領が民間年金基金を国有 化する計画を打ち出したことで、2000年以降2度目のデフォルトに陥るのでは ないかとの観測が広まった。ウクライナや南アフリカでも格付けの見通しが引き 下げられるなど、米国発の金融危機は世界的な規模で企業や国家の信用力が大き く動揺している。

通用しない従来の信用分析

カウプシング銀行が現在、政府管理下に置かれており、政府支援のもとでも デフォルトという異例の事態となった。「大きくて、つぶせない」という長く言 われてきたことも、米大手証券リーマン・ブラザーズの破たんで通用しなくなり、 リーマンのサムライ債もデフォルトに陥り、これまでの信用分析が通じない非常 事態が相次いだ。

◎カウプシング銀行が発行したサムライ債一覧 第1回債 500億円 3年 1.8% 06年10月20日 09年10月20日 第2回債 100億円 3年 1.65% 07年7月5日 10年7月5日 第3回債 50億円 5年 1.99% 07年7月5日 12年7月5日 第1回債 130億円 5年 FRN 07年7月5日 12年7月5日 (変動利付債、FRN:6カ月LIBOR+32bp) *主幹事は4本とも、大和証券SMBC、野村証券が共同で務めた。

Editor:Takashi Ueno、Hitoshi Sugimoto

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