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GMの憂鬱~11月10日(月)~|The New York Blog

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久々の「憂鬱」シリーズ。若大将シリーズでも、ワールドシリーズでも、007シリーズでもなくて申し訳ないが、時節柄、ということで。

GM、ゼネラル・モーターズ。連日株が売られ込まれているが、今日は殊更派手に売り込まれた。ダウが0.8%ダウンする中、GMの終値は前日比23%ダウンの$3.35。時価総額はなんと、$1.9billion (約2000億円)になってしまった。中学生の頃、確か「公民」の授業で、GMはノンメジャー(非石油会社)で世界のナンバー1企業と習った筈なのに、なんとひどい体たらくだろうか。GMにとってこの株価水準は、1946年以来の水準だそうだ。(そりゃそうだろうと思うが、1946年の株価と比較してもあまり意味はないだろう)。


時価総額は安いが、一方で企業価値は$25billion(約2兆5000億円)と決して安くはない。手元現金も$20billion(約2兆円)ある一方で負債が$43billion(4兆5000億円)ととてつもなく大きい為である(因みに興味のある人の為に言うとEBITDA倍率は泣く子も黙る50倍)。しかし問題はこの現金を毎月$1billion以上燃やしていると言われていることである。運転を続ける為には手元流動性が$10billion程度は必要と見られるので、このままでは後一年も持たない、ということはこれまでも何回か書いてきたと思うし、巷でもよく報道されていることである。


今日、大きく下げたのは二つの材料がある。一つはBarclay's CapitalのアナリストがGMの予想を「underweight」に修正した上で株価予想を$4から$1にし、更にGMが恐らく来年第一四半期には流動性が枯渇するであろう、また恐らく政府によって救済されることになるだろうが、その際既存株主は大きく希薄化されてしまうあろう、という見通しを発表したことにある。

これは確かに悪材料であるが、個人的にはGMのequityは完全にwipe-out(価値ゼロ)と見ていたので、大きなサプライズではなかった。寧ろ僕が注目したのはGMが、サーべラスと共同株主になっている元子会社のGMAC(販売金融の会社)もこのままでは存続が厳しい、ということを最新の四半期業績の中で発表したことである。それに加えて現在Chapter 11(民事再生法)に入っているDelphiも、Chapter 11からの再生は厳しいであろう、というコメントもされた。


Delphiのニュースはサプライズではなかったが(クレジット市場がこの状況ではChapter 11から脱出するのは誰でも至難の業、特にDelphiの規模では)、GMACについてはサプライズ、というか呆れてしまった。勿論GMACの内容が悪いであろうことは重々承知していたのだが。

元々自動車会社は低金利融資によって「需要の先食い」をしてきたと批判されていた。GMACは特にGMのお抱え販売金融会社として、GMの売り上げ促進を昔から担ってきた。しかし、GMACが倒産しそう、ということはいかにGMのビジネスモデルが腐っているかを如実に物語っているではないか。左手で現金稼ぎながら右手で現金を燃やしているようなものであある。左手と右手が一応別会社(GMACはGMが49%保有、サーべラスが51%保有)となっている辺りがちょっと確信犯的匂いもする(勿論売った時にはGMACは絶好調であったのだが、B/Sを切り離すというリスクマネジメント的観点もかなりあったのだろう)。

最近、GMをはじめとするBig 3はブッシュ政権及びObama新政権に対して政府による支援融資をするように激しくロビイングをしていることも報道の通りであるが、GMACの惨状を見る限り、GMの状態は予想よりひどいのかもしれない。

GM不調の原因は(実際はさておき)品質のレピュテーション、売れないラインアップ、性能、など幾つかよく知られているものがあるが、多分日本であまり知られていないものとして、福利厚生費の高さ、というのがある。主に医療厚生と退職者年金なのだが、GMが隆々としていた頃の名残もあって実に手厚い制度になっている。日本車と比べればこのコストだけで一台あたり20万円違う、といわれている。

従ってこのコストの見直しも競争力向上の鍵となるのであるが、交渉相手となるUAW(全米自動車労連)会長のRon Gettelfingerは(僕も一度会ったことがある)、「GMに対してはこれまで散々譲歩してきた。これ以上の譲歩は有り得ない。政府が支援をするならば医療保険の充実や退職者年金の面倒も見て欲しい」と、これもかなり頑なになっており、難題となっている。

自動車会社は他の事業会社と違い、倒産させると消費者が買い控えをするので倒産はさせない方が良い、というのが常識とはなっているが、今日のGMACのニュースでちょっと様子が変わってきたのではないか、と個人的には考えるようになった。GMは最早ビジネスモデルとしてsustainableでないのではないだろうか。であると

すればGMを破産させ、解体し、閉鎖する工場は閉鎖し、生産中止するものは中止した上で、部門別の再生・閉鎖をするべきではないのだろうか。倒産している間のファイナンス(DIP)を政府が低利で供与する、ということだって考えられる。DIPだったらローリスク融資なので、納税者にもお金が返ってくる。

しかも倒産すれば、UAWの労働債権問題だって一度リセットをすることができる。しかし、そしてここが肝なのであるが、UAWといえば民主党の基盤中の基盤である。


まさに、Obamaのお手並み拝見となった。目が離せない。

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