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原子力空母PR漫画は「フィクション」である−JanJanニュース

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原子力空母PR漫画は「フィクション」である
海形マサシ2008/08/04
原子力空母が日本を守ってくれるから受け入れるべきという発想は、全く愚の骨頂だ。PR漫画に、肝心の原子炉の安全性に関する解説は全くない。
日本 軍事 防災・復興

 8月2日、筆者は、横須賀の米国海軍基地を訪れた。その日は、「ネイビー・フレンドシップ・デイ」で一般に基地が解放されて、中には露店が並び、設営されたステージでショーが催されお祭り状態であった(写真1)。筆者が来た主な理由は、米海軍がPRに配っているという原子力空母ジョージ・ワシントンの漫画を入手するためであった。

(写真はいずれも、クリックすると拡大します)
原子力空母PR漫画は「フィクション」である | 1.ステージのショー(カントリーダンス)
1.ステージのショー(カントリーダンス)
原子力空母PR漫画は「フィクション」である | 2.漫画のカバー
2.漫画のカバー
原子力空母PR漫画は「フィクション」である | 3.問題の消火場面
3.問題の消火場面
 漫画は、無料で配られていて、現役の兵士が、配った人々にサインをしていた(写真2)。さて、受け取った漫画の内容はというと、主人公はジャック・オハラという日系人の三等兵曹が横須賀に向けて旅立つ空母に乗船する。主人公を追いながら、空母の構造、たのもしき兵士達の生活、兵士達が如何に日本を愛していて、日本での生活を楽しみにしているかと説明する白々しいストーリーが続く。最後は、横須賀に辿り着き、その後、鎌倉に行き、祖父母に出会うというもの。

 肝心の原子炉の安全性に関する解説は全くない。その上、最近の出来事と重なる気になる場面もあり、そのことを兵士に問い質した。「写真3」の場面だ。ランドリー室で乾燥機から出火、主人公が短時間で見事に消し止め、延焼を防いだというものだ。当のジョージ・ワシントンは、5月下旬に南太平洋上で火災を発生させ、艦内80室に延焼、消火には12時間も要したという。原因は2ヶ月も経って発表。なんと煙草の不始末が原因だったという。

 筆者に質問を受けた黒人兵士は、「ああ、この話はフィクションなんだよ」と答えてくれた。

 もう一つ気になることがあって、今度は制服を着た階級は「Lieutenant」の白人兵士に訊いた。この漫画は無料で配布されているが、予算はどこから出たのかと。彼は苦々しく「基地の予算から」と答えた。つまり、我々の「思いやり予算から」出費されているということを意味する。

 火事を起こし、サンディエゴで修復を済ましたジョージ・ワシントンは、9月末に横須賀に配備される予定だが、今度の出火事件もあり、地元の不信は高まるばかりだ。そのうえ、佐世保に停泊していた原子力潜水艦が放射能漏れを起こしていたというニュースが入ってきた。もはや、配備は撤回するしかない状況だろう。

 こんなことを言うと、日本の防衛に穴が開くと不安がる人の声が聞こえるが、以前、筆者が投稿した記事「米原子力空母反対 そもそも米軍は日本に不要」で説明したように、米軍は、日本を守る体制にそもそもなっていない。ジョージ・ワシントンは、第7艦隊の米軍独自の強大な装備だが、しかし、これが、どんなに強大であろうとも、日本の防衛に使われていない限り意味を為さない。つまりは、アメリカの国益を元にした軍事戦略として動く艦隊で、実際は、アフガニスタンやイラクなどに派遣され、日本の周辺海域などを守る余裕など持ち合わせていないのだ。

 「アメリカが日本を守ってくれている」と善意を期待した幻想が、なぜか日本では一般にまかり通ってしまっている。冷戦中は、アメリカにとって日本が極東における「反共の砦」の役割を担っていたからこそ、南ベトナムのように守るだけの価値があった。ソ連崩壊後、その役割は終わった。今は思いやり予算で駐留費のほとんどを出してくれる日本が、コスト面で安いから居座っているようなものだ。

 そもそも、アメリカが日本のために善意で何かをしてくれるということを期待するのは見当違いだ。北朝鮮とはテロ国家指定を解除したし、つい最近は竹島の領有権を巡って国務省の地図で「主権未定」と名称変更したのを韓国の抗議で元の「韓国領」に戻すこととなった。ちなみにその国務省の地図では、北方領土はロシア領になっている。尖閣諸島は日本領になっているが、いざ紛争が起きたとして、アメリカは日本より米国債を保有し経済的な結びつきの強い中国と対立などせず、即、中立の立場を取ると見ていいだろう。

 アメリカに限らず、どこの国でも自国の利益にならない他国間の紛争にはできるだけ中立の立場を取るのがいわば国際政治の常識だ。世界というのは、いわば無法地帯のサファリランドで、そこに各国が自己責任で生きているようなものだ。原子力空母が日本を守ってくれるから受け入れるべきという発想は、全く愚の骨頂だ。

 しかし、この空母配備の問題、反対をし続けている立場の人々にも、問題はあると思う。それは彼らが日本の防衛を真剣に考えず「憲法9条を守っているから日本は平和、日本には軍隊がない。米軍が日本を代わりに守っている」という幻想を抱き続けたいがため、自衛隊を軍隊と認めず在日米軍の駐留を批判しながらも結果、容認してきたことだ。

 筆者は、平和主義者だが憲法9条の改正には、賛成の立場を取る。それは、自衛隊を軍隊でないとするのは、とても偽善的だからだ。どこの国の軍隊も自衛目的で存在する。自衛のみの目的だから軍隊ではないという主張は、国際社会では全く通じない。そして、軍隊と認めないことは、むしろ危険性さえはらんでいる。

 有事の際、通常の軍隊でないとできない武力行使をしなければいけなくなった時、やも得ず超法規的措置をとることとなり、ルール無視をいいことに旧帝国軍が諸外国に対し犯した間違いを繰り返すきっかけにもなる。軍隊と認めた上で、暴走行為を犯さないように管理していくことがむしろ安全だといえるのではないか。

 自衛隊を軍隊と認める勇気を持ち、試行錯誤していくべきだろう。だが、そのためには自立した国家にならなければいけない。ならば、空母の配備を拒否し、思いやり予算を凍結、在日米軍を大幅に削減するようにしていくべきだ。最も、今の政府では、しがらみが多くてできないだろう。思いやり予算は、公共事業としての利権にも関わることだ。何もそれは政権与党だけでなく、防衛関連の労組を支持基盤とする野党にとっても、捨てがたいことで、それこそがアメリカに付け込まれてきた理由だったと言っていい。

 さて、フレンドシップ・デイ(友好の日)のフィナーレは、花火大会であった。米海軍基地のフットボール場から、潮風を受けながら花火が上がるのを眺めた。実にいい体験だった。周囲には、アメリカ人の家族連れや若者がたむろして騒ぎ、それは、筆者が20代の頃、アメリカに留学していた頃の日々を思い出させた。アメリカ人は気さくで陽気な人々ばかりだった。人の悩みに関しても親身になって力をかしてくれる心優しい人々にも出会えた。私の人生で最も充実した時代であったと思う。

 原子力空母の反対で、アメリカとの同盟関係が危うくなるのではないかと危惧する声を聞くが、大事なのは、アメリカと真に対等な同盟関係を持つためには、事なかれ主義をやめ、堂々とこちらの主張を述べることだ。日本が米軍にお金を払ってまで基地を貸すことをやめるのはアメリカの市民にとっても有益なことになるはずだ。

 先週、ポレポレ東中野で「アメリカばんざい」という映画を観た。アメリカの軍隊の現状をルポしたドキュメンタリー映画で、貧しさがゆえに軍隊に入る人々、戦場で傷つき、精神病に悩まされるが、帰国しても職が得られずホームレスになる元兵士の人々、その家族などをレポートしている。彼らも、政府の愚策の犠牲者といっていい。イラク戦争の経費は、ベトナム戦争のそれに近付こうとしている。

 そろそろ、アメリカも戦略を大きく変えていくべき時に来た。日本は、敗戦の後遺症から、アメリカについていきさえすればいいと思っていたが、むしろ、対等な友人として適切なアドバイスを与えてもいい頃なのではないか。それができてこそ、真の「フレンドシップ」が成り立つ。
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