今後の米国は何をエンジン役として成長するというのか・・・:イザ! |
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相変らず、米政府から発表されるコメントは楽観的だ。ヘネシー米大統領補佐官(経済担当)は9日、オバマ次期大統領の就任後、米経済が早期に回復する可能性が高いとの認識を示した。しかし、その最後には、「ただし正確な時期を判断するのは時期尚早」と締めくくる。
過去の経験則からいくと、戦後の米国の不況は長くても16ヵ月だった。1973年11月から75年3月までの16か月、81年7月から82年11月まで16ヵ月と2回存在した。この過去の経験則から、まもなく危機から脱却するということを正当化しようとする者が多いのである。今回の不況の始まりは2007年12月であるから、不況が2009年3月まで続けば16ヵ月となり、ここを転機として4月からは低成長でありながらも回復へ向かうというものである。
まったくお笑い種だが、ここで問いたいのは、米国経済が「回復する」というならば、何をエンジン役にして成長し景気回復するのかである。2000年のITバブル崩壊から立ち直る今回のバブル崩壊までは、言うまでもなくサブプライム層にまで豪華住宅を与えてくれるような夢の世界を創り上げ、その夢を売買できるという特殊な金融システムが機能したという原動力があったからである。(結果が有毒な住宅ロ−ン担保証券であったことは別にしても)
しかし、今回は産業資本主義のみならず金融資本主義までが揺らぐ事態に及んだ。今のところ、財政出動で個人消費を押し上げることぐらいしかないのだが、それで景気が回復するなどと思うのは、あまりにも浅はかすぎる。持続性無き応急措置としては仕方無いのだろうが、財政出動するにしても規模が小さすぎる。
昨年以来、「米国最大の○○会社」と呼ばれる企業が次々と潰れてきた。そんな光景を目の当たりにしながら、その事実が嘘だったかのように、これから数ヵ月後に景気が回復しますというのは、誰が考えても有り得ない話しなのである。
BusinessWeek誌が2009年の展望についていくつか予想を立てているのでご紹介する。
★経営難に陥っている米書店チェーン大手ボーダーズ・グループ(BGP)は、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請し、米書店最大手バーンズ・アンド・ノーブル(BKS)が、その店舗のごく一部を引き継ぐことになるだろう。
★米クライスラーは米ゼネラル・モーターズ(GM)に破格の安値で吸収合併されるだろう。クライスラーの筆頭株主である米プライベートエクイティ(非公開株)投資ファンド、サーベラス・キャピタル・マネジメントが、クライスラー株を一刻も早く手放したがっているからだ。
★大手石油会社同士の合併が少なくとも2件は行われるだろう。本誌が最も可能性が高いと睨んでいるのは、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル(RDSA)による、経営難に陥った英BP(BP)の買収だ。この合併には、米国の石油会社との合併で生じ得る規制問題を回避する目的もある。
★携帯電話料金の値下げ圧力も相当強まり、米通信最大手AT&T(T)などの業績は悪化、新聞社の利益縮小傾向は今年も続くと思われる。
★著名投資家のジョージ・ソロス氏やマイケル・ブルームバーグ・ニューヨーク市長などの大富豪が、米ニューヨーク・タイムズ(NYT)の救済に乗り出すかどうか。その場合、同社は今年中に非営利法人の一部になるだろう。
★オバマ次期大統領の支持率はこれ以上の上昇は見込めない。政権発足当初の数カ月間に厳しい選択を迫られるため、オバマ氏の支持率は多少下がる。また、ブッシュ政権の影響力は完全に消え去る方向に向かうだろう。
★バーナンキFRB議長は、2010年1月31日に4年間の任期満了を迎え、バーナンキ議長は、自分の役目はもう終わったとして、現任期満了時に退任する意向を発表すると予想する。後任はクリントン政権下で財務長官を務めたローレンス・サマーズ氏になるだろう。
★体制変化は世界レベルでも起こる。カナダは今の米国依存から、労働力確保と貿易拡大のために欧州との関係を強化し、不安定な米経済への依存度を低下させる動きに向かうだろう。さらに、エネルギーや資源取引の分野でも、米国と距離を置き、中国などの国との関係強化に力を注ぐだろう。
★中国は、経済成長は鈍化するものの、今後も世界に影響力を発揮し続けるだろう。また、ロシアのウラジーミル・プーチン首相の大統領復帰も十分にあり得る。
以上が、記事を抜粋したものだが、「米国最大の新聞社が倒産」とか、「米国最大の通信企業AT&Tの倒産」とか、世間を賑わす材料には事欠かない。
今、オバマ政権に実力以上に大きな期待を寄せる気持ちはわかるのだが、米国に残されたものは、職の無くなった国民、住宅在庫のヤマ、莫大な借金、それだけである。築き上げてきたものがすべて崩れ去ることが、米国の運命のようである。
投稿者 sfu9xi | 返信 (0) | トラックバック (0)