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リクルート事件

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6月に川崎市で発覚した「リクルート」疑惑事件は、その後大きな広がりを見せ、政官財界からマスコミ界を巻き込んだ空前の大スキャンダル事件へと発展した。

 これは、大手情報産業「リクルート」が、値上がりするのがほぼ間違いない系列不動産会社「リクルートコスモス」の非公開株を、トンネル会社を通じるなどして政治家らへ幅広くばらまいていたもの。

 発端となった川崎市は、20日、小松秀煕助役がこの株を取得して、一億円の利益を得ていたとして、同助役を解職処分にした。

 自民党など有力代議士らの家族、秘書も同株を譲り受け、公開後の急騰で売却していたことが明らかになり、7月6日には、江副浩正・リクルート会長が引責辞職した。

 その混乱の中で開かれた税制国会では、同疑惑をめぐる証人喚問や資料要求の扱いなどで再三、審議が中断し、混迷を深めた。9月に入ると、社民連の楢崎弥之助代議士に対する贈賄工作も発覚、コスモス社の松原弘・前社長室長が東京地検特捜部に逮捕され、刑事事件へと発展した。

 国会でも、江副前会長らを証人喚問した。この江副発言がもとで、宮沢蔵相が、それまでに行った非公開株関与についての発言訂正を余儀なくされ、蔵相辞任。その直後には、NTTの真藤恒会長も利益を得ていたことがわかり、辞任した。

 東京地検では、株ばらまきの目的は事業の展開を有利にするためと見て、疑惑の解明を急いでいるが、事態は疑獄の様相も見せている。

2002年10月24日付

リクルート事件 高石元文部次官の有罪確定

上告棄却、「不作為も職務行為」と認定

 リクルート事件・文部省(当時)ルートで収賄罪に問われ、一、二審で有罪判決を受けた元文部事務次官・高石邦男被告(72)について、最高裁第二小法廷(福田博裁判長)は23日までに、高石被告を懲役2年6月、執行猶予4年、追徴金2270万円とした二審・東京高裁判決を支持し、高石被告側の上告を棄却する決定をした。高石被告の有罪が確定する。

 これで、一連のリ事件で起訴された12人のうち、公判が続いているのは来年3月に一審判決が予定されている贈賄側のリ社元会長・江副浩正被告(66)(求刑・懲役4年)だけとなる。

 決定などによると、高石被告は文部事務次官だった1986年9月、〈1〉リ社が進学情報誌を作るため高校教師らから生徒名簿を集めていた問題が表面化していたのに、同社に不利益となる行政指導をしなかった〈2〉リ社の役員らを旧文部省所管の審議会委員などに選任した——ことへの謝礼などとして、江副被告らから、リクルートコスモス社の未公開株1万株を譲り受けた。

最高裁の初判断、汚職捜査の支えに(解説)

 約13年に及ぶ高石被告の裁判で最大の争点となったのは、リクルート社に不利となる行政指導を行わなかった「不作為」が、わいろの対価になるかどうかだった。下級審では判断が分かれたが、第二小法廷は「積極的な便宜供与をしていないことは罪の成否を左右しない」と判断。公務員の「不作為」も職務行為と認定し、見返りにわいろを受け取れば、請託(依頼)がなくても収賄罪が成立するとしたのは、最高裁では初めてだ。

 95年の一審・東京地裁判決は、高石被告を有罪としたが、「当時、リ社への行政指導が必要という認識が文部省内にはなかった」として、「不作為」をわいろの対象となる職務行為と認めなかった。これに対し、二審・東京高裁は98年、「被告は行政措置がリ社に影響を及ぼすことに配慮し、あえて積極的な対応をしなかった」として、「不作為」も便宜供与にあたると認定。一審判決より刑を重くした。

 従来、行政措置などを行わないよう具体的に請託した上で、見返りにわいろが提供される受託収賄事件では、「不作為」も職務行為と認定する判例が定着していたが、請託のない今回のような単純収賄事件では、最高裁の判断がなかった。それだけに、「職務権限のある公務員に金品が供与された場合、権限の行使、不行使いずれの対価であっても公務員の公正に対する信頼を損なう点では同じ」と解釈した二審判決を最高裁が支持したことは、密室でのやり取りの立証を迫られる汚職捜査の大きな支えになることは間違いない。(石原 明洋)

リクルート事件公判の状況〈ルート、被告人、判決(経過)〉

 ■政界
藤波孝生・元官房長官 懲役3年執行猶予4年 追徴金4270万円(確定)
池田克也・元衆院議員 懲役3年執行猶予4年 追徴金1835万円(確定)

 ■文部省
高石邦男・元事務次官 懲役2年6月執行猶予4年 追徴金2270万円

 ■労働省
加藤孝・元事務次官 懲役2年執行猶予3年 追徴金681万円(確定)
鹿野茂・元課長 懲役1年執行猶予3年 追徴金134万円(確定)

 ■NTT
真藤恒・元会長 懲役2年執行猶予3年 追徴金2270万円(確定)
長谷川寿彦・元取締役 懲役2年執行猶予3年 追徴金2270万円(確定)
式場英・元取締役(故人) 懲役1年6月執行猶予3年 追徴金1135万円(確定)

 ■贈賄側
江副浩正・元会長 一審公判中(求刑・懲役4年)
辰已雅朗・元社長室長 懲役1年執行猶予3年(確定)
小野敏広・元秘書課長 懲役2年執行猶予3年(確定)
小林宏・元FF社長 懲役1年執行猶予2年(確定)

※FF=ファーストファイナンス

2003年3月4日付

江副被告に猶予つき有罪判決 リクルート事件で東京地裁
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東京地裁判決が認定した事実
 グループ企業の未公開株が政財官界にばらまかれたリクルート事件で、贈賄罪に問われたリクルート元会長の江副浩正被告(66)に対する判決が4日、東京地裁であった。山室恵裁判長は「利益追求に目を奪われて及んだ犯行で是認できる動機ではなく、首謀者として最も重要な役割を担った」と指摘する一方、「贈賄によって公務員の職務の公正が害されたり、政治・行政がゆがめられたりしたことはなかった」と述べて、江副元会長に懲役3年執行猶予5年(求刑懲役4年)を言い渡した。検察側は控訴を検討するとみられる。

 判決は、江副元会長が、グループの不動産会社「リクルートコスモス」(東京都)の店頭公開を控え、86年9月にその未公開株計5万3000株を、藤波孝生元官房長官(70)や池田克哉元代議士(65)ら7人に安値で譲ったとし、株譲渡そのものをわいろと認定した。

 山室裁判長は、ほぼ起訴事実を認めたうえで、元会長側に有利な事情を酌み、執行猶予をつけた。

 その理由として、まず未公開株という形での贈賄行為に言及。「譲渡の時点では、店頭登録後の価格がどの程度値上がりするか不確定な部分があり、現金による贈賄よりも犯情が軽い」と判断した。検察側は株の店頭公開時、値上がり確実だったとして「実態は多額の現金供与に等しい巧妙なわいろだった」と主張したが、判決はこれを退けた。

 また、「当時は政官界に対する接待や贈答は社会規範を著しく逸脱するとは考えられていなかった」との社会事情も考慮し、「コスモス株譲渡は接待などの利益供与の一環で、当然のように受け入れていた収賄側にも問題がある」と述べた。

 政治家2人への請託について検察側は「就職協定が守られないと、自社の就職情報誌の発行に支障をきたす」ことが贈賄の動機だったと主張していた。しかし、判決は「就職協定の存続・順守はむしろ国の正当な施策にかなったものだ」と指摘して悪質性が小さいと判断。そのうえで、「これまで贈賄罪で実刑となったのは、違法な職務行為との対価性が認められる場合に限られる」として執行猶予付きの結論を導いた。

 この事件は、政界、旧労働・文部両省、NTTの4ルートにまたがり、政治家2人を含む計12人が起訴された。江副元会長を除く11人はいずれも執行猶予付きの有罪判決が確定。ただ1人残された元会長の審理は、検察・弁護側双方で100人以上の証人が出廷し、詳細な証拠調べが行われたため、裁判は13年3カ月に及び、322回を数えた。

    ◇

 ●判決が認定した事実の要旨(肩書はいずれも当時)

 【政界ルート】就職協定が順守されないのは官庁が公務員採用で就職協定の趣旨を尊重しないことに一因があるため官庁が協定の趣旨に沿う適切な対応をするよう藤波孝生官房長官に尽力を依頼し、コスモス株1万株を提供。(小切手2000万円の資金提供は贈賄罪の時効成立)

 公明党の池田克哉代議士に、就職協定が存続・順守されないとリ社の就職情報誌事業に多大な支障をきたすうえ官庁が青田買いをしているとして、官庁が就職協定に協力するとの申し合わせを順守するよう求める国会質問を依頼し、コスモス株5000株と現金300万円を提供。(ほかの400万円分は時効)

 【旧労働省ルート】加藤孝・労働事務次官に就職情報誌の発行についての法規制や行政指導について好意的な取り計らいを依頼し、コスモス株3000株を提供。

 【NTTルート】リ社の回線リセールやコンピューターの時間貸し事業への支援などの謝礼と同様の支援と協力を受けたい趣旨で、真藤恒会長ら3人に計2万5000株のコスモス株を提供。

 【旧文部省ルート】高校から生徒の名簿提供を受けることについての黙認と、文部省の審議会にリ社関係者を選任するよう高石邦男事務次官に依頼し、コスモス株1万株を提供。

13年裁判「江副被告の疲労」配慮

 政官財界を震かんさせたリクルート事件の主役に下されたのは、執行猶予付きの有罪判決だった。13年3か月にわたる長期審理の末、東京地裁で4日、開かれた元会長・江副(えぞえ)浩正被告(66)の判決公判。山室恵裁判長は「国政、行政に対する信頼を損ねる犯行で、企業経営者として軽率のそしりも免れない」と未公開株のばらまき工作を指弾しながらも、「321回の公判で被告には疲労の影も色濃い」とその情状を手厚く酌んだ。実業界から退いて久しい「戦後最大の起業家」は、伏し目がちに裁判長の判決朗読に耳を傾けた。

 江副被告は午前10時前、グレーのスーツ姿で入廷。長期の法廷闘争を共にした9人の弁護士が座る弁護人席には目を向けず、うつむき加減に証言台の前に立った。顔には深いしわが刻まれ、かつて「戦後最大の起業家」「ベンチャーの旗手」ともてはやされた面影はうかがえない。

 正面の3人の裁判官を見上げて一礼して判決主文の言い渡しを待った。

 「被告人を懲役3年に処す」「刑の執行を5年間猶予する」

 山室裁判長が有罪と執行猶予期間を告げた瞬間も、江副被告は表情を変えず、視線も落としたまま。山室裁判長に「理由は長くなりますから、どうぞ座って下さい」と促されると、また一礼し、証言台のいすに腰を下ろした。

 判決理由の朗読中、江副被告は、検察官や弁護人がメモを取るペンを走らせるのとは対照的に、ペンを握ることもせず、裁判所職員から差し出された水が入った紙コップに2、3回口をつけただけだった。

 一方、江副被告の法廷闘争を論告で「裁判引き延ばし」と厳しく非難した検察側。リクルート裁判に長年かかわってきた検事の1人は、テレビで判決を知った瞬間、「ああ、実刑じゃなかったのか」と無念な表情を見せた。「事件で社会的生命を絶たれた人に比べ、13年の裁判の末、執行猶予付きの判決ではあまりに軽い」と漏らした。

 リクルート社は、「創業者の有罪判決を厳粛に受け止めている。今後、より厳格なコンプライアンス(法令順守)経営が求められていく中で、さらに高いレベルを目指す努力を重ねていく」とのコメントを出した。

 判決に対し、東京地検の笠間治雄・次席検事は「事実認定については適正と考えるが、求刑を下回り、執行猶予を付けた点について、判決内容を精査して対応を決めたい」とのコメントを発表した。また、異例の長期裁判になった点にも触れ、「極めて遺憾に思うとともに、刑事裁判の現状に警鐘を鳴らすものと受け止めざるを得ない」とした。

          ◇

 ◆「事件は生涯、心の重荷」◆

 江副被告は公判で検察側と対決姿勢を貫いたが、最後はコスモス株のばらまきを悔いる場面も見られた。

 「気が狂うような取り調べで、拷問は今なおあると感じた」。1989年12月の初公判で検察の捜査を厳しく批判。その後、計38回行われた被告人質問でも、「私の意に反する調書が次々と作られた」と無罪を主張し続けた。

 一方、92年5月に、保有するリクルート株をダイエーに放出することを発表。公判以外では逮捕後初めて公の場に姿を見せ、「社員が受けるショックを思う時、胸が張り裂ける。社員にどう説明するかを考えて、ここ数日、眠れなかった」と、心中を吐露した。

 2001年12月に行われた最後の被告人質問では、「リクルート事件の江副浩正ということは、生涯背負っていく心の重荷」と、長かった公判を振り返り、昨年9月の最終意見陳述では、「愚かにも私がコスモス株を政治家らにお持ちいただいたことが、世間を騒がせた。犯した過ちは極めて大きい」とも語った。

 判決前の読売新聞社の取材には、「事件後の選挙で自民党は大敗、現在も連立政権となっており、国会で何事を決めるにも時間がかかっている。これも私の罪とされるところ」と事件の影響にも言及していた。

 ◆「政治と金」改革進んだが…◆

 激しい法廷闘争を続けてきた江副浩正被告だが、この間、他の11被告全員の有罪が次々と確定し、外堀は埋まっていた。

 江副被告は、検事調書について「事実でないことを供述させられた」と任意性、信用性を真っ向から争った。だが、収賄側被告の裁判では、最終的に「江副調書」が証拠採用され、「信用できる」と認定されている。「請託(依頼)の事実があったことなどに合理的疑いが残る」として、1審・東京地裁が無罪を言い渡した藤波孝生・元官房長官について、2審・東京高裁は、請託を認めた江副調書の信用性を全面的に認めて逆転有罪とし、最高裁もこの判断を支持した。

 リクルートコスモス株についても、「一般には入手が困難なうえ、値上がりが確実だった」として、職務に絡むわいろとの判断が積み重ねられてきた。

 このため、焦点は江副被告に執行猶予が付くかどうかに移っていた。この日の判決は、江副被告の贈賄工作を認定しながらも贈賄罪で実刑を受けるケースはわいろ額が非常に多額など悪質な場合に限られているなど、江副被告に有利な情状を多く酌み取り、執行猶予付きの有罪判決とした。

 一方、「政治と金」の不透明さを浮き彫りにしたリクルート事件は、深刻な政治不信を招き、政治改革論議の発火点となった。

 1994年には、金がかからない選挙を目指して、小選挙区比例代表並立制が導入された。95年には、政党の活動費を国が補助する政党助成法が施行され、政治資金の収支を透明化するため、企業から政治家個人や政治団体への献金が一切禁止された。政治家1人につき1つだけ認められた「資金管理団体」への献金額も、1企業当たり年間50万円以内に制限され、2000年以降は、全面的に禁止になった。

 しかし、こうした取り組みとは裏腹に、金にまつわる政治家の不祥事は後を絶たない。ゼネコン汚職事件の中村喜四郎・元建設相(起訴は94年)、旧建設省発注工事を巡る汚職事件の中尾栄一・元建設相(同2000年)、KSD事件の村上正邦・元労相(同2001年)、そして、昨年は鈴木宗男・衆院議員が汚職に問われた。

 今回、江副被告に執行猶予を付けた山室裁判長は、判決理由の中で「(リ社の政治家や官僚への)接待や贈答は、少なくとも当時は、社会規範を著しく逸脱する行為とは考えられていなかった」と述べた。しかし、法廷の攻防が続いた13年余りの間に、社会の目はより厳しさを増している。江副被告に対する有罪判決を機に、今1度、「政治と金」の問題を問い直す必要があるだろう。(小林健)

 元最高検検事の土本武司・筑波大名誉教授の話「あいまいな趣旨のまま、あいまいな見返りを求めて経済的利益を譲り渡した場合でも、贈賄罪が成立することを明確に示した点で、意義のある判決だ。収賄側にとっても、あいまいな趣旨の金を受け取った場合、収賄罪に問われることがある訳で、大きな警鐘を鳴らしたと言える。5分5分の確率で執行猶予が付くと予想していたが、社会的制裁を十分、受けているし、裁判が長かったことが大きい。江副被告を有罪にすることが重要で、服役はさせなくてもよいと裁判所は考えたのではないか」

 作家・佐木隆三さんの話「贈賄側の実刑判決は少ないが、政官財を幅広く汚染し、当時の竹下内閣を総辞職にまで追い込んだ事件の中心人物なのだから、執行猶予が付いたのは納得がいかない。判決は、上場後の価格が不確定な未公開株の譲渡は、現金供与より犯罪の度合いが軽いと判断しているが、リクルートコスモス株は値上がり確実で、現金と何ら変わらない。江副被告はあからさまに公判を引き延ばし、最終的には“逃げ切った”という印象で、政治とカネを巡る裁判で悪(あ)しき手本を残した」

リクルート事件

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