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ジャパン・ハンドラーズと国際金融情報 : 民主党政権の対日戦略担当を輩出する「ストーンブリッジ・インターナショナル 」とは

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アルルの男・ヒロシです。

 本日のNHKスペシャルは、昨年の暮れからシリーズで放送されている「日本とアメリカ」の第2シーズンの第三回目でした。今回のテーマは去年の第1シーズンの一回目に続いて、「ジャパン・ハンド(ラーズ)」。次期アメリカ政権の対日担当者のところに日参する、ワシントンDCのマサチューセッツ通りにある日本公使館の日本人外交官の動きを中心に追いかけたものです。

 この番組は再放送が6日にあるそうなので、見逃した人は録画するようにしてください。

 この番組で民主党側と共和党側の対日戦略家が何人も紹介されていた。共和党の筆頭に来ていたのが、お馴染みマイケル・グリーン(戦略国際問題研究所・日本部長)である。相変わらずマイケルは、「日本褒め殺し路線」である。「日本よ世界でリーダーシップを発揮しろ(自衛隊をアフガニスタンに送れ)」と主張している。

 マイケルは、日本は無責任にも、今の国際情勢で高みの見物を決め込もうとしていると批判し、それを「パラダイス鎖国」という言葉で表現していた。なかなか良い言葉だ。パラダイス鎖国は行きすぎでも、「洞ヶ峠を決め込む」という感じで良いと思う。この番組をみても、「いかん、日本はアメリカに捨てられる!」と危機感を持って、この「褒め殺し」に乗ってはいけない。

 共和党戦略家でもう一人紹介されていたのは、マイケル・R・オースリンという若手研究者である。イエール大学教授で、現在はアメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)フェローである。彼はAEIのウェブサイトでたくさんのペーパーを発表しているが、彼が一躍有名になったのは、金正日死後の北朝鮮処理について提案した、North Korea's Marshall Plan(北朝鮮復興マーシャルプラン)という小論文がきっかけらしい。(同論文は2006年WSJの論説欄に寄稿された)

 このプランでは、「総額1千億ドルを米国、日本、韓国が北朝鮮へ投入して、民主的な半島統一国家へと移行させろ」というものだという。この基金の使い方は主に韓国に決めさせ、それをIMFと国連で監視するという計画らしい。日本は資金だけを出させられる、ということらしい。(2006.08.17 泉幸男氏の<国際派時事コラム>朝鮮国への悔(くや)しのマーシャル・プラン http://a.mag2.com/0000063858/20060817202718000.html)

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なお、オースリンは産経新聞の古森義久氏のインタビューにも答えている。
(【グローバルインタビュー】米シンクタンクAEI常任研究員、マイケル・オースリン氏 2008.9.27)
http://sankei.jp.msn.com/world/america/080927/amr0809271100007-n1.htm

North Korea's Marshall Plan
By MICHAEL R. AUSLIN
http://online.wsj.com/article/SB115559163779035427.html

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 NHK番組からは、相変わらずアメリカが与えた宿題を日本がこなすという路線が継続していることが分かる。ワシントンの石井公使は、日米の協力案件を何とか打ち出そうとするが、逆にマイケルに「安全保障分野の協力はどうした!」と恫喝される始末である。

 現場の苦労というのも大変だと思うし、アメリカにある公使館の仕事だから、アメリカの意向を忖度する方向になってしまうのだろう。しかし、「日本は協力関係できる分野を探していますよ」と向こうに言えば、アメリカは「ほう、そうか。じゃあこれをやってくれ、あれもやってくれ」という要求が来るようになる。

 それを東京に伝えて、外務省の経済局と北米局の課長級たちがが話し合って、アメリカを喜ばせる政策が自民党に提案されるのであろう。

 まあ、そこまで愚かでもなく、日本公使館の皆さんも苦々しい思いで対米協力しているのかもしれないが・・・・。

 さて、番組で重要なのは、オバマ政権のジャパン・ハンドラーズの顔ぶれがまとまって登場したことである。この記事の最後に、以前、私が雑誌で発表した文章を載せるが、この番組を踏まえることで、さらに情報に広がりが出てきた。

 ズバリ、オバマ政権のジャパン・ハンドラーズを考える上でのキーワードは、「石橋」である。石橋???。

 英語で言うと、ストーンブリッジ。ワシントンにある外交コンサルティングファーム、「ストーンブリッジ・インターナショナル」である。
 
 この組織は、キッシンジャー・アソシエーツやアーミテージ・インターナショナルのように、元政府高官が多数参加している団体であり、日本以外にも中国にも事務所を構えているところに特徴がある。設立したのはクリントン政権時代の国家安全保障補佐官のサミュエル・バーガー。ヒラリー・クリントンの大統領選挙スタッフでもあった。(http://www.ethicsscoreboard.com/list/berger2.html)

 現在、このストーンブリッジには、ビルダーバーグ会議メンバーのロジャー・アルトマン元財務次官補、元シティ・グループ会長のチャック・プリンス、米商工会議所会頭のトマス・ドナヒュー、911独立調査委員会メンバーでもあった、リー・ハミルトン(ウッドロー・ウィルソンセンター所長)らを、顧問陣に迎えている。なお、アルトマンは、 現在の金融危機に際して、FTなどのメディアに寄稿を行うほか、Evercore Partners Incという投資ファンドの会長も務めていることでしられる。http://www.evercore.com/Team/index.php?charVal=65-72

 NHK番組で登場していたのは、このほかにジェフリー・ベーダー(Jeffrey Bader)、マイケル・シーファー(R. Michael Schiffer、スタンレー財団 http://www.stanleyfoundation.org/contact.cfm?id=19)、そして、カート・キャンベルである。これに加えて、マシュー・グッドマンという人物が加わっているが、日本新聞社での勤務経験を持つ。

 この中で、ベーダー、グッドマンは、ストーンブリッジの対日・中専門家として登録されている。

 ベーダーの肩書きを見よう。すると、彼は現在、the Brookings Institution’s John L. Thornton China Centerとなっている。番組でも紹介されていたがブルッキングスが中国研究所をつくった際に中心となったのが、清華大学教授で元ゴールドマン・サックス最高執行責任者のジョン・ソーントンである。ここにアメリカの対中国ロビーの拠点がある。この事については既に書いた。(NHKはソーントンの過去の企業経歴について触れていなかったがわざとだろうか?)

 現在の財務長官のヘンリー・ポールソンは、ゴールドマン・サックスの会長時代に70回も中国を訪問したことがあり、別名「チャイニーズ・ポールソン」と言われているが、GSの対中人脈は一方で、民主党系のジョン・ソーントンにも繋がっている。

 さらに付け加えると、ストーン・ブリッジの対日エキスパートの中には、あのジェラルド・カーティスの名前もある。そして、あの渋澤一門の山本正(日本国際交流センター)を「叔父」と呼ぶ、渋澤健の名前もある。(http://www.stonebridge-international.com/bios/bio65.html)

 こうしてみてくると、オバマ政権の対日戦略家は、ブッシュ政権のAEI、ヘリテイジ偏重から、一気にブルッキングス研究所人脈に逆戻りしていることが分かる。クリントン政権時代に活躍して、ブッシュ政権時代に「島流し」にあっていた、「ブルッキングス=ストーンブリッジ」のネットワークをわれわれは研究しなければならない。

 参考までに、私がある雑誌に寄稿した原稿を載せておく。

(貼り付け開始)

アメリカ大統領選後の日米関係を予測する上のキーパーソン

SNSI研究員・中田安彦

 この8月は北京五輪しか大きな話題がないと思っていたが、月初めに中央アジアのグルジアとロシアの軍事衝突が勃発し、世界の眼はそちらに向かった。9月以降に本格化する米大統領選も、この問題が大きな争点になる。ということは、次期政権を民主党の共和党のいずれが取ろうが、「大国ロシアの復活」という地政学的な重要なテーマに沿って外交政策は決められていくのであり、対日関係もその大きな大国のゲームの一つとしてのみの位置づけになる。90年代ならともかく、日本単独で戦略チームを立ち上げて対策を立てるという時代ではないのだ。
それをふまえた上で、次期政権の対日政策がどうなるか考えてみたい。

 7月下旬にNYのジャパン・ソサエティーというシンクタンクでオバマとマケインの対日政策について解説するシンポジウムが開かれた。このシンポジウムに参加したのは、共和党のジョン・マケイン候補の東アジア政策担当アドバイザーのマイケル・グリーン(CSIS日本研究部長)とワシントンと北京に本拠を構える民主党系ヘッジファンド、ストーンブリッジ・キャピタル出身でオバマに助言している、マシュー・グッドマンの二人である。

 筆者は数年前にアメリカの対日人脈について徹底的に解説した『ジャパン・ハンドラーズ』という著書を出版したが、マケイン陣営を代弁するグリーンについてはかなりの分量を割いて紹介した。グリーンは、元々、JET日本語プログラムという留学制度を利用して日本で学んだり、自民党の親米人脈の重鎮だった椎名元夫・参院議員(故人)の秘書をしていたこともあり、日本語が堪能で、我が国の政界やメディアでは知らないものはいない。

 故・椎名議員の人脈からは、ブッシュ政権の一期目で国務副長官で、集団的自衛権行使容認を働きかけていた、リチャード・アーミテージに繋がっており、グリーンやアーミテージはいわゆる「知日派」として知られる。しかし、知日派は、決して、「日本の友人」という意味ではない。

 正しくは、「日本をアメリカの外交利益のために巧く転がす能力を持っている人」という意味である。彼らは、日本を内部から調べ尽くすことで、日本の「利用価値」を理解している人たちなのである。

 逆に、オバマに助言しているグッドマンは、今まで知られていなかった専門家である。彼は、クリントン政権の財務副長官だったロジャー・アルトマン(ビルダーバーガー)が顧問に参加しているヘッジファンドのメンバーだが、公表されている発言を読んでいる限りは、アジアの中心である中国とアメリカの経済交流を深めていこうという考えを持っているようである。対称的にマケイン側のグリーンは、中国が大国であり、ある程度平和的に勃興(ぼっこう)していることを認めつつも、日本と中国の持っている価値観の違いに注目している。ブッシュ政権が中東で展開していた、「自由と民主主義」(リベラル・デモクラシー)という価値観の浸透を通じて中国の民主化をはかるべきという考えのようだ。

 しかし、既に述べたように次期政権では、やり残したイラク戦争の後処理と、急速に力を付けてきた「プーチンのロシア」にどのように対応するかという問題が主要課題になる。したがって、中国に対してはレトリックやニュアンスの差はあれ、いずれが次期大統領になっても、融和的になるだろうと予測できる。

 その点で注目したいのはオバマ陣営の外交顧問を非公式に務めている、ズビグニュー・ブレジンスキーの存在だ。彼は、「デイヴィッド・ロックフェラー政権」と言われた’70年代のカーター政権において、大統領国家安全保障補佐官を務めた外交戦略家だ。8月のグルジア戦争が勃発した後、ロシアのプーチン首相を「まるでヒトラーかスターリンのような専制主義者」と強く批判している。

 彼は共和党の外交を支配するマケイン周辺の過激なネオコン派たちとは意見を異にして、イスラエルのアメリカへの過度の影響を懸念するが、ロシアがアメリカの国益を脅かすのではないかという危機感という点では共通している。そのブレジンスキーは、最近も日本のメディアに対して、「これまで中国は国際システムの外で活動してきたが、主要国首脳会議(G8)による政策決定過程や世界銀行、国際通貨基金の決定に参画させるべきだ」として、米中関係楽観論を展開している。これは、対ロシア封じ込めを展開する上で、中国を味方に付けておくべきだという、ニクソン政権以来のアメリカ穏健保守派の外交政策を踏襲しているのである。

 その流れから、次期政権の外交政策はロシアシフトを強めると予想できる。日本は現在インド洋で「テロとの戦い」に参加する米艦船に給油活動を行っているが、これの継続を求められるとともに、日本の軍需メーカーに対して、弾道ミサイルの売り込みが行われていくだろう。マケインの地盤であるアリゾナ州には、ミサイル会社レイセオンのミサイル工場があり、2005年からレイセオン社の国際部門の社長であるトーケル・パターソンは、同社の日本支社長であると同時に著名な日本研究家でもある。

 そして、防衛省を襲った汚職問題のキーパーソンである秋山直紀という人物の周辺の旧防衛施設庁人脈には、米ミサイル防衛局出身のウィリアム・シュナイダー(現AEI研究員、元国防長官顧問)の名前も浮上している。私は、自民党と民主党の防衛族が多数参加憲政記念館で開催されたシンポジウムを聴講したことがある。さながら会場脇のブースはは「兵器見本市」の観を呈していた。当初、北朝鮮や中国を標的にしていたミサイル防衛は、ロシア対策と言う名目で売り込みを強化されるかもしれない。

 アーミテージも過去には軍需メーカーの取締役でもあり、日本政府にも兵器の売り込みを掛けていたらしい。だが、彼がグルジアを経由するカスピ海で産出する石油を運搬するパイプライン(BTCパイプライン)に出資している米コノコフィリップス社の取締役も務めているというのはさすがに驚きだ。

 オバマ陣営にも軍需メーカー出身のアドバイザーの影が見られる。それは、ボーイング・ジャパンの社長を務めていたことがある、ロバート・オアーである。ボーイングと言えば、元々本社がシアトル市にあった。同市は、民主党の知日派で三極委員会北米委員長であるトマス・フォーリー元下院議長が議員時代の地盤である。ところが、同社は2001年にシカゴに本社を移転している。シカゴは言うまでもなくオバマ候補の地盤であるイリノイ州最大都市だ。オバマは三極委員会人脈とシカゴ財界人の支援を受けているのである。

 民主党のジョゼフ・ナイ(オバマの外交アドバイザー)と共和党のアーミテージ、グリーンが中心になって、超党派で尖閣問題や台湾独立問題への対処を念頭に中心に対日外交政策が決められてきた時代はもはや昔のことだ。ブッシュ政権時代に「小泉・竹中路線」を推し進めて構造改革と郵政民営化を実現させ、日本の旧来の構造を解体してしまった結果、日本はアメリカにとって単なる「投資先」に過ぎなくなってしまったというわけである。

<各陣営の主要な外交アドバイザー>

★は日本研究家

オバマ陣営(民主党)

ズビグニュー・ブレジンスキー(元大統領国家安全保障担当補佐官)
ジョゼフ・ナイ(ハーバード大学特別功労教授、国際関係論)
★ジェラルド・カーティス(コロンビア大学教授、日本政治)
ロバート・オアー(元ボーイングジャパン社長)

マケイン陣営(共和党)

ランディ・シューネマン(グルジア政府外交顧問、PNACメンバー)
★マイケル・グリーン(ジョージタウン大学外交政策学部教授、東アジア外交政策 )
リチャード・アーミテージ(米石油、コノコフィリップス取締役)
ロバート・ケーガン(カーネギー平和財団研究員、PNACメンバー)

(貼り付け終わり)

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