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インディペンデント/サイエンンス 2008年9月21日 携帯電話の使用は 子ども達の脳腫瘍のリスクを5倍高める

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スウェーデンの新たな研究が、
若者達は将来、がんの多発に直面するという脅威を提起

情報源 Independent/ Science - September 21, 2008
Mobile phone use 'raises children's risk of brain cancer fivefold'
Alarming new research from Sweden on the effects of radiation
raises fears that today's youngsters face an epidemic of the disease in later life
By Geoffrey Lean, Environment Editor
http://www.independent.co.uk/news/science/mobile-phone-use-raises-childrens-risk-of-brain-cancer-fivefold-937005.html

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
掲載日:2008年9月22日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_08/08_09/080921_IoS_Mobiles.html


 新たな研究が、子ども達と10代の若者は携帯電話の使用で、脳腫瘍の発症が5倍になるという驚くべきことを示した。
 専門家らは、この研究は今日の若い人たちは、将来、がんの”多発”に直面するかもしれないと述べている。少なくともイギリスの16才の若者10人中9人は自分の携帯電話持っており、同じく小学校の学童の40%以上も持っている。

 ところが携帯電話の使用によるがんリスクについて310万ポンド(約6億円)という大金をかけて今年立上げられた調査(訳注1)では若者への危険性についての調査は除かれていたが、この調査を実施している携帯電話通信健康研究プログラム(Telecommunications and Health Research (MTHR) Programme) は、この問題は実は”最も優先順位が高い”ことを認めている。また公式報告が子どもの携帯電話の使用は”最小限”とすべきであると勧告しているのに、英国政府はそれについてほとんど何も対策をとっていない。

 先週、欧州議会は、ヨーロッパ全土の大臣に対して、その一部の理由としては子どもたちは特に脆弱なので、携帯電話やコードレス・フォン、 Wi-fi 無線LAN、その他の機器からの電波への暴露をもっと厳しく制限することを強く推進することについて、522対16の表決で採択した(訳注2)。子どもたちの脳と神経系はまだ発達中であり、また子どもたちの頭は小さく頭蓋骨は薄いので、電波は脳により深く浸透するという理由で、子ども達には特にリスクがある。

 スウェーデンの研究は今月、携帯電話と健康に関する初めての国際会議で報告された。

 その研究は、スウェーデンのオレブロ大学病院のレナ-ト・ハ-デル教授指導の下に実施された電磁波のがんを引き起こすリスクについての最大規模の研究のひとつから得られたデータのさらなる分析によってもたらされたものである。ハ-デル教授は、電磁波研究トラスト(Radiation Research Trust)によって王立協会で開催された会議で、20歳以前に携帯電話の使用を開始した人々は中枢神経を支えるグリア細胞(訳注)のがんである神経膠腫(グリオーマ)(訳注)に5倍罹りやすいと述べた。また多くの家庭で見られるコードレス・フォンの使用で障害を受ける若い人々のリスクは4倍高いと述べた。

 携帯電話を若い時に始めた人々は、良性ではあるが聴覚神経を損ない、通常耳が聞こえなくなる聴覚神経腫瘍に5倍罹りやすくなると彼は付け加えた。これとは対照的に、20歳を過ぎてから携帯電話の使用を開始した人々は、神経膠腫(グリオーマ)については50%、聴覚神経腫瘍については2倍高いだけであった。

 ハ-デル教授は、インディペンデントとのインタビューで、次のように述べた。”これは警告の信号である。非常に心配なことである。我々は予防的行動を取るべきである”。彼は、12歳以下の子どもは、緊急時以外は携帯電話を使うべきではなく、また10代はハンズフリー装置又はヘッドセットを用いるべきであり、送信に徹するべきであると信じている。20代になると、脳は完全に発達し終わっているので危険は薄らぐ。彼は、実際に子ども達や10代に及ぼす危険は、彼の研究結果が示唆するものより大きいかもしれないと述べたが、それは彼の研究結果は人々が長い年月、電話を使用したことの影響を示していないからである。ほとんどのがんは発症するのに数十年かかり、携帯電話が市場に出てきた期間より長い。

 この研究は、携帯電話を10年以上使用している成人は神経膠腫(グリオーマ)や聴覚神経腫瘍に罹りやすいことを示したが、そのように比較的長期の使用が、若い時に使用を開始した人々のリスクをどのように増大させるのかを示す十分なデータはないと彼は述べた。

 彼はもっと多くの研究がなされることを望んでいるが、イギリスの9万人を対象とする携帯電話通信健康研究(MTHR)プログラムの調査において、子ども達へのリスク調査は行われない。同プログラム管理委員会の委員長であるデービッド・コッゴン教授はその理由を、スウェーデンのカリオリンスカ研究所(Kariolinska Institute)によって若い人々に関する調査が実施されているためであると述べた。

 彼は次のように述べている。”子どもの時から携帯電話の使用を始めた人々のがんが5倍も増えるということは恐ろしいことのように見えるが、もしそのリスクがそのように高いことを示す証拠が出てくれば、本当に驚くであろう”。

 しかし、ニューヨーク州立大学公衆衛生学部長でその会議に出席したデービッド・カーペンターは次のように述べた。”子どもたちは相当な時間を携帯電話に使っている。我々は携帯電話の使用の結果として脳腫瘍の多発による公衆健康危機に直面するかもしれない”。

 2000年と2005年に、前政府主席科学者のウイリアム・ステュワート卿の下で、二つの公式な調査が、子どもの携帯電話の使用は”なるべく止めさせ”、”最小にする”よう勧告した。

 しかしほとんど何も措置が取られず、若者による使用は2000年以来2倍以上になっている。

訳注1:
MTHR Press Releae 6 June 2008 New Mobile Phone Research Announced

訳注2:
The Earth Times 18 Sep 2008 European Parliament Recommends Stricter Safety Limits for Cell Phones

European Parliament Press release 04-09-2008 / Mid-term review of the European Environment and Health Action Plan 2004-2010

訳注3:関連記事
Telegraph.co.uk 21 Sep 2008 Mobile phones may raise cancer risk in children, study finds


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